残留農薬とは何か。どんな影響が出るのか

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野菜などに残留農薬が入っているのではないかと考えたことはあるでしょうか。

日本では何度も検査をされて店頭に並んでいることが多いため、警戒している人は多くはありませんが、もしも野菜に残留農薬が入っていた場合には人の身体に様々な影響が出る可能性が高く危険なものです。

残留農薬についての知識を増やし、日々の食生活で安心して食べることができるように工夫しましょう。

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どのような環境下で残留農薬が残りやすいのか

野菜などは虫食いを防ぎながら育てていくために農薬が使われています。無農薬野菜を謳っているものは農薬が一切使われていない野菜ですが、そのような記載のないものはほとんどが農薬を使って育ったものと考えていいでしょう。

通常出荷前や出荷後の検品作業で洗浄され、何度も検査を通して残留農薬がないかを厳しく検査していますが、微量な農薬が残った状態で店頭に並ぶ可能性もゼロではありません。その他の理由としては、農薬が消失する前に出荷されてしまうケースもあります。

農薬が使用されてから効力がなくなるまでにある程度の時間が必要になります。何らかのきっかけで農薬が消失する時間を待たずに出荷されてしまったことが原因で農薬が残留してしまうのです。

残留農薬が身体に及ぼす影響

口に入れてすぐに身体に影響が出ることは殆どなく、微量な農薬が少しずつ体内に蓄積されていくことで農薬中毒症状が発生します。めまいや吐き気、嘔吐、だるさ、発熱など食中毒にも似た症状が出る場合もあれば、目の充血・痛み、皮膚のかぶれ、のどの渇き、などアレルギー症状のような状態になる場合もあり、体質によって症状は様々です。

厚生労働省の統計によると、2000年の農薬による死者数は900人を超える結果が出ているようです。

あまり身近に感じにくいですが、実際に農薬で苦しむ人は少なくないのが現状のようです。親族や家族が農薬で苦しんでいる人を見てきた人は、野菜を見ただけで「これも農薬が含まれているかもしれない」「怖くて食べられない」という恐怖感に襲われ、最悪の場合うつ病などの精神を病んでしまう病気になってしまうことも少なくありません。

気にしすぎるあまりに過敏になってしまうことで陥りやすく、一度恐怖を感じてしまうとトラウマになってしまうことも少なくありません。

農薬の必要性と使用することの意味

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無農薬野菜が出回ることが増えていますが、そもそも農薬は必要なものなのだろうかと疑問に感じる人も少なくありません。もともとは食糧を増やすことを目的に昭和23年に薬物取締法が決められて、食糧自給率を上げるために使われるようになりました。

人々が安全に食べることができる野菜を作りたいという思いと、虫食いなどで出荷が減ってしまうことを防ぐことが目的でした。農薬のおかげで出荷量も増加し、確実に自給率も上がり、私たちの食生活に貢献してくれているのです。

有機野菜の栽培が盛んにおこなわれていますが、日本の天候や気温・湿度などの影響で出荷量が不安定になりやすく、安定した自給率を確保するという点で考えると有機栽培だけで賄うことは難しいのが現状です。今後医療や技術の進歩によって容易に大量の有機野菜の栽培・生産が可能になることで農薬は必要なくなる可能性もありますが、そうなるにはまだまだ長い年月と研究が必要のようです。

農薬は進化している

昭和23年から農薬がすでに使われていたとお伝えしましたが、当時使われていた農薬が1ha当たりkg単位で撒かれていたのに対し、改良されたことで平成に入ると数g~数十g程度で十分な効果が得られるようになりました。

これにより身体への摂取量も抑えることができるなどかなり改善されていることがわかります。また、量が大幅に減ったことだけではなく研究によって農薬自体の毒性も大幅に抑えることができるようになりました。1970年代以降の農薬は毒物とされているものは殆どなくなり、より安全性が高くなっています。

農薬が分解されるまでの期間も大きく変化しています。1960~70年代の農薬は180日たってようやく半分の農薬が分解されるのに対し、2010年代の農薬はわずか10日以内で分解されるほどにまで改良されています。

健康面でも生産面においても大きく貢献してくれているのです。

外国産の野菜などの農薬量は多い可能性がある

外国産の野菜も農薬が使われているものが少なくありませんが、日本の基準と海外の基準は必ずしも統一されているわけではなく、日本産の野菜よりも農薬の量が多い可能性が高くなります。また、日本の農薬と海外の農薬では質も変わってくるため、少量でも体内に入ってしまった場合には症状が出やすくなる可能性もゼロではありません。

日本人の身体の大きさと海外の人の身体の大きさも異なるので、海外では満たされた基準であっても日本人には多量摂取となる可能性もあるため、入念に洗浄したり熱処理したりするなど十分に気を配りましょう。

残留農薬への対策方法

どれだけ検査をしても、微量の農薬はどうしても残ってしまいがちです。品質改良されて身体への害は大きく改善されていますが、不安な場合には口にする前・調理する前に工夫することで安全に食べることができます。キッチン周りの掃除をする際に使う重曹を使って洗うことで、ある程度の農薬を落とすことができます。

残留農薬のほとんどは野菜の表面についたものになります。たらいに水を張り、重曹を混ぜた状態で野菜を洗うことで農薬を洗い落とすことができます。重曹がない人は塩水でも十分に効果を出すことができます。レタスやキャベツなど葉がまとまっている野菜は、1枚1枚はがして洗うのがポイントです。

農薬は人の食を守るためのもの。不安な人は対策をする

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農薬と聞くと危険なもので人に悪影響を及ぼすものと思われがちですが、実際には生産量を安定化させてより安全に口にすることができるように、人々の食生活を守るために使われているものです。平成になってからは毒物指定されるものも殆どなくなったため、より安全性は高まっています。

それでもどうしても微量の農薬は表面に残ってしまうことが少なくありません。どうしても不安な人は調理前に十分に洗浄することで、体内への吸収を大きく抑えることができます。お子さんがいる場合には特に気を使いたいと考える人もいるでしょう。

身体が小さい分大人よりも影響が出やすくなる可能性もありますが、ご自宅で十分に対策することは可能です。あまりに神経質になってしまうことでどんどん不安になってしまいがちですが、心配な場合には購入した野菜は毎回洗浄する習慣をつけるようにしましょう。

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