国産蜂蜜の残留農薬が気になる!食べても体に害はないの?

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控えめな甘さや独特な風味を持つ蜂蜜はそのまま使う以外に、いろいろな料理にも利用できる便利な食品です。国内各地でも養蜂が行われいろいろな種類の国産蜂蜜が出回っています。そんな国産蜂蜜の安全性が疑われる残留農薬についての報道が2013年頃から出始めました。

直接身体に入るものだけに食べ続けても大丈夫なのかが気になります。問題となっている農薬はどんなものか、食べても体に影響がないかをチェックしておきましょう。

関連:残留農薬が心配。有機溶媒中に抽出された農薬からわかること

蜂蜜から見つかった残留農薬の正体とは?

大学の研究グループの調査により日本各地の蜂蜜から基準値より高い残留農薬が検出されたことが新聞で話題になりました。見つかった残留農薬は害虫退治に効果的であるとされて世界的に使用が増えたネオニコチノイド系の農薬です。

調査対象となったサンプルの60%を上回る蜂蜜が残留農薬で汚染されていることがわかりました。蜂蜜は大量に食べるものではないため、市販されているものが汚染されていたとしても口に入れたとたんに身体への影響が出ることはないと考えられています。

ネオニコチノイド系の農薬とは?

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ネオニコチノイド系農薬はニコチノイドをもとに作られた農薬です。ニコチノイドの構成は煙草に含まれるニコチンとよく似ています。ネオニコチノイド化合物は全部で7つの種類があり、他の成分をプラスすることでネオニコチノイド系農薬となります。

人に対する毒性が強く、使用が懸念されていた有機リン系農薬に代わり殺虫剤として広く使われるようになった農薬で、始めは農業用として使用されていましたが、後に害虫駆除剤などにも使用されるようになり、一般家庭にも普及していきました。

農薬が発売された当初は哺乳類へどのような影響を及ぼすかはほとんどわかっていませんでしたが、少しずつ研究が進んでいます。ネオニコチノイド系農薬の散布後に体調不良を訴える人が現れるなど、人間の身体への影響も疑われはじめました。

さまざまな視点から書かれた医学論文も発表され脳への影響も心配されています。ネオニコチノイド系農薬でダメージを受けるのは虫だけではありませんでした。

蜜蜂の大量死との関係が疑われるネオニコチノイド系農薬

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近年、蜜蜂の群れがいなくなった、たくさんの蜜蜂が死んでいたといったニュースを耳にするようになりました。同じような話題は日本に限らず、全世界で聞かれます。こうした異常な話を聞くと蜂とは全く縁のない一般の人たちでも何かおかしい、良くないことが起きているに違いないと感じるでしょう。

研究者の中からは群れの消滅や大量死の原因がネオニコチノイド系農薬と関係しているのではないかと疑う声が上がっていますが、未だに因果関係は証明されていません。もしもネオニコチノイド系農薬が影響しているのであれば、このまま放置してしまうと野生の蜜蜂が完全にいなくなってしまう可能性があります。

蜂蜜が取れなければ残留農薬の問題どころではありません。おいしい蜂蜜を守るためにはネオニコチノイド系農薬が蜜蜂に与える影響を明らかにし手を打つことが必須ですね。

EU全域で使われなくなった3種類の農薬

蜜蜂の異常行動や大量死とが絶対に関係あると言い切ることができなくても、悪い影響を及ぼしていると関連があることを認め、EU(欧州連合)では一部のネオニコチノイド系農薬使用が禁止されました。使用できなくなったのはイミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムの3種類です。

蜜蜂が影響を受ける可能性のある屋外で栽培されている作物では使うことができませんが、花が咲いていない時期のみ葉への散布は許可されています。屋内で栽培している作物への散布は蜜蜂への影響がないため制限はありません。

こうして蜜蜂を保護することで作物を実らせるための受粉や養蜂も守ることができます。

日本で使われ続けるネオニコチノイド系農薬

残念ながら日本ではまだ、蜜蜂を守るための対策は行われておらず、もともと許可されているネオニコチノイド系農薬を以前と変わらず使うことができます。規制がかかっていないため、市販の蜂蜜のネオニコチノイド系残留農薬もゼロであるとはいえません。

養蜂を営む人々にとって蜜蜂そのものへの悪影響や残留農薬の問題は生活のかかった大きな悩みです。

最近は街中でもビルの屋上などを利用し養蜂を試みる人が増えています。蜜蜂の数が減ってしまえば自分の手で蜂蜜を集めることもできませんし、残留農薬の数値も気になるでしょう。ヨーロッパ各国に比べ日本は規制に対し消極的に見えますが、人体への影響を明確にした研究データが揃えば状況が変わる可能性はあります。

今後、ネオニコチノイド系農薬の使い方がかわるかどうか注目です。

日本の残留農薬検査はどうなっている?

厚生労働省では分析や実験データを踏まえて食品安全委員会が行ったリスク評価を元に一日の許容摂取量を決めています。国内に流通している食品は自治体によって検査が行われ違反のないよう努めているため、残留農薬の基準値を超えていない=安全と判断されたものだけしか市場に出ることはありません。

一日の許容摂取量は世界共通のものですが、食品ごとの基準は国によって異なるので注意が必要です。日本は全ての食品において基準が厳しいと思われがちですが、気候や風土を考えどうしても必要とされる農薬もあるため、他の国に比べて残留農薬基準が緩めに設定されている食品も見受けられます。

蜂蜜の場合、残留農薬の基準値が0.2ppmと設定されているのはアセタミプリドだけです。その他の残留農薬の基準は厚生労働大臣が定めている一律の0.01ppmが基準とされています。

蜂蜜の残留農薬は食べても問題のないレベル

皮を剥いて食べるものと違い、そのまま口に入れる蜂蜜はどうしても残留農薬が心配になります。残留農薬を自分で調べることは難しいため、専門機関のデータだけが頼りです。一般社団法人日本養蜂協会では国産蜂蜜について200項目以上をチェックし、残留農薬の数値が基準を上回ることがないよう注意しています。

ネオニコチノイド系の残留農薬はほとんどがゼロに近く、普段食べる量ではすぐに健康被害が表れる数字ではありません。国産蜂蜜は安心して食べられるレベルが保たれています。日本養蜂協会では適正な方法で試験を実施し続けデータを確認していく意向です。

おそらくネオニコチノイド系農薬の使用制限がかかるかどうかで今後の数値は変わってくるでしょう。国産蜂蜜の安全性が守られていることがわかりほっとしましたね。身近にいる蜜蜂の力で作られる自然の恵み蜂蜜には体に必要なビタミンやミネラルも含まれています。

取れる場所によって味の変化も楽しめるので、これからも安心して活用していきましょう。